My Cinema Talk World: 「レクイエム・フォー・ドリーム」ー 快楽の末にみる悪夢が恐ろしすぎる

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2014/03/23

「レクイエム・フォー・ドリーム」ー 快楽の末にみる悪夢が恐ろしすぎる

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先日、アカデミー賞助演男優賞を受賞したジャレッド・レト主演の「レクイエム・フォー・ドリーム」は、見た後はしばらくは忘れてしまいたいと思うほど恐ろしい作品です。
人間の心の闇を監督ダーレン・アロノフスキー流の映像手法を用いて描き、レクイエム(鎮魂歌)のラストは完璧なまでの奈落への大団円を迎えます。
生きる上では楽しいことばかりではなく苦しみも受け入れながら生活して行かなくてはならない。その苦しみを逃れるために人は夢想に走ったり薬に助けを求めたりもする。
日本では欧米のように広がってはいないだろうけど、ドラッグを使って簡単に緊張を緩和したり快楽を求めたりする。薬や麻薬に頼った果てはどんな恐ろしいことが起きるのか。4人の男女が終焉までの経路の案内人です。
この作品を観賞しながらも目を背けたくなるのは、少なからず誰でも彼らと同じ「心の闇」をもっているからだと思います。

ストーリー

ニューヨーク・ブルックリンの大西洋岸にあるコニーアイランドの団地に住む未亡人のサラ(エレン・バースティン) は、一日中テレビでインフォマーシャルを見る孤独な生活を送っていた。一人息子のハリー(ジャレッド・レト)は高校を卒業したものの定職に就かず、親友のタイロン(マーロン・ウェイアンズ)と共にヘロインに溺れ、サラの大事なテレビも質に入れてしまう始末。
そんなある日、サラの元にテレビの視聴者参加型番組への出演依頼があり、サラはハリーの高校卒業式に着た、とっておきの赤いドレスを着ようとしたのだが食べて寝るだけの生活から太ってしまい、着られなかった。自己流のダイエットを始めてみるが上手くいかず、医者に処方されたダイエット・ピルを飲み始める。
一方ハリーとタイロンは金儲けのためにヘロインの密売を始め、やがて恋人のデザイナー志望の女性マリオン(ジェニファー・コネリー)と共に洋品店を出す夢を抱くようになった。



ー 以下ネタバレになるので省略 ー
��Wikiより)

キャスト
    ハリー・ゴールドファーブ:ジャレッド・レト
    サラ・ゴールドファーブ:エレン・バースティン
    マリオン・シルヴァー:ジェニファー・コネリー
    タイロン・ラヴ:マーロン・ウェイアンズ
    タフィー・ティボンズ:クリストファー・マクドナルド
    エイダ:ルイーズ・ラサー
    ビッグ・ティム:キース・デヴィッド
    アーノルド:ショーン・ガレット
    医師:ディラン・ベイカー

スタッフ・作品情報
監督      ダーレン・アロノフスキー
脚本      ヒューバート・セルビー・ジュニア、ダーレン・アロノフスキー
製作      エリック・ワトソン、パーマー・ウェスト
音楽      クリント・マンセル
撮影      マシュー・リバティーク
編集      ジェイ・ラビノウィッツ
配給      Artisan Entertainment(アメリカ合衆国) ザナドゥー(日本)
公開      2000年10月6日(アメリカ合衆国)
2001年7月7日(日本)
原題      Requiem for a Dream


      



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ハリー(ジャレッド・レト)、マリオン(ジェニファー・コネリー)、タイロン(マーロン・ウェイアンズ)は典型的なジャンキー・ピープルで最近の映画でよくみる人物像であり、ハリーの母親サラ(エレン・バースティン)は部屋に閉じこもって大好きなテレビ番組を見ているうちにいつの間にかテレビの中の憧れの人になっちゃったという幻覚をみる孤独な初老の女性。時々現実に戻って来た時、自分があまりにも太りすぎていることを気にしはじめ処方薬による怪しげなダイエットを開始。薬を飲み続けた挙げ句、とうとう行くべきところに行き着いてしまいます。マリオンだけではなく、4人全員自分達がして来た行動の責任を負うハメになってしまいます。
アロノフスキーの映像はさまざまな手法が駆使されていて、それによって閉塞感とか焦燥感だとか精神的な不快感を煽っているのだろうとおもいます。映像学などをちゃんと勉強したわけではないのでよくはわからないのですが。たとえばハリーとマリオンの2人を監視カメラから覗いているようなのとか、早送り的手法、演技者の上前方からカメラをぶら下げて撮影する(お笑い番組など芸能人をジェットコースターに乗せる時にヘルメットに小型カメラを装着して撮るあんな感じ)方法とか画面を2分割してそれぞれの人間の表情を捉える手法、小刻みにカメラを揺らすとか…うるさ過ぎて視覚に優しくないのでかなり好き嫌いはあるのではないでしょうか。私は正直なんだか映像が耳障りな雑音のように感じて疲れてきました…80年代のMTVのPVを見ているような錯覚を覚えました、私が嫌いだったPVのようで。ピーター・ガブリエルの「スレッジ・ハンマー」とかワンチャンの「Everybody have fun tonight」とかっぽい気がしました。
しかし、ラスト部分の息が止まるほどの畳み掛けるような緊迫感はお得意のその手法と音楽に依る効果から完璧に完成されているもので、「きゃー!もうやめてあげてー!!」って叫びたくなるほどの鬼気迫るフラッシュの攻勢が迫ってきます。
曲は一度聴くと「あれ?どこかで聴いたことある?!」って多くの人が思うであろう『Lux Aeterna』ですね。
とにかく、この映画を見た後は「嫌なものから目を背け続けているとこうなっちゃうんだね。」って教訓を得るとともにしばらくは見たくないって気持ちでいっぱいになりました。観る人をこんな状態に追い込んでいるということは、監督の目論み通りの作品に仕上がっているんですよね、多分。
ほとぼりが冷めたら性懲りもなくまんまと見るだろうと思うけれど。。。

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